強化普及部より、平成31年度の京都陸上競技指導者研修会の内容を掲載しています。
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平成 30 年度京都陸上競技協会指導者研修会(スポーツ指導者研修会)報告書
    「世界を見据えた女子ハードルの指導法について」
明治大学 准教授 金子 公宏 氏 / エディオン 木村 文子 氏

1 主催 (公財)京都府体育協会,(一財)京都陸上競技協会
2 日時 平成31 年1月26 日(土)10:00〜16:00
3 会場 講演:京都市西京極総合運動公園陸上競技会議室
     実技:京都市西京極総合運動公園補助競技場
4 講師 明治大学 准教授 金子 公宏 氏
     エディオン      木村 文子 氏
5 参加者 講演:指導者55名
      実技:指導者57名、選手134名
【講演】テーマ:「メダリストの条件」
6 内容
(1)講演(10:00〜12:00)
   「世界を見据えた女子ハードルの指導法について」
   講師 所属 明治大学 准教授 金子 公宏 氏

【内容】
日本陸連が提示している競技者育成指針を踏まえた指導をしていくことは選手の将来を見据えると非常に重 要である。各ステージで勝利至上主義にならないように指導者が配慮し、低年齢の時期には様々な競技や種目を 行って基礎的な運動スキルを高め、選手の可能性を広げていくことを大切にしてほしい。
高山選手・木村選手(金子先生が指導されている)の競技歴を振り返ってみても、幼少期から様々なスポーツ に触れ、種目を絞り込むこと無く、多様な競技・種目をしてきている。本格的な専門練習やウエイトトレーニン グなどを導入してきたのは大学以降であり、成長過程に応じたトレーニングの重要性を示された。両選手は、自 分より競技力の高い選手との合同練習、メンタルトレーニングやウエイトトレーニングなど新しい練習方法の導 入、怪我による長期の離脱、大きな成果が出てからの心境の変化、所属の変化など、様々な機会を経て成長を重 ねてきており、段階的に世界で戦える選手になってきたことが説明された。

「世界で戦うためのハードルの技術として各局面での動作のポイントや意識について」
@スプリント強化
A踏切技術 腰の位置を高くし、強く思い切り踏み切る技術とパワーの養成
Bバランス 体を開かず、ねじらず常にバーに正対し、上下半身を連動させる
C抜き足技術 着地脚との連動、真下への振り下ろしと腕の振り込みを連動させる
Dインターバル 短いインターバルで目標タイムを設定し速いリズムとスピードに体に染みこませる

「指導者にむけて今後の指導について」
@選手に練習の目的やなぜパフォーマンスが向上したのかを具体的に理解させられるように指導していくこと。
A一つのやり方や一方的な指導に偏らないようにし,選手自身で考え,コントロール できる自主性を養成していくこと。
B様々な種目や練習を行って、トレーニングの振り幅を大きくし、選手の持つ可能性を最大限に高めていくこと。

(2)実技講習会(13:30〜16:00)
講師 エディオン 木村 文子 氏

【内容】
木村選手が日常的に実施している W-UP を行いました。その中で体の感覚や動きの違いを見つけながら修正 を加えていくことを実践されており、W-UP が単なる体を温める作業ではなく、自分の体と向き合う時間であり、 感覚を研ぎ澄ましていくトレーニングになっていることを感じ取ることができました。
ハードルの技術についてはシンプルでゆっくりの動作で軸を意識し、重心移動がしやすい四肢の動かし方を染 み込ませてから、複合的な動作をより速く行っていきました。一つ一つの動きを丁寧に行い、良い感覚をつかんだ中で速さにつなげていくことの重要性を感じられたと思います。また、木村選手の模範演技の質が高く、同じ 動作をしていても、動きの速さや正確さは見事であり、練習を「どのように行うか」の大切さを実感できる実技 講習となりました。

■W-UP
柔軟性や上下半身の連動性を高める。
動きの中で体の動きや感覚の違いを感じ取りながら、修正をしていく意識で行う。

@キャット&ドッグ(四つ這い、膝立ち)「丸める⇔反らす」を繰り返しながら柔軟性の違いを感じる
Aプランク上下、上下前後 軸を維持しながら」の要素を加えて行う
Bサイドプランク 脚上下、腰上下(腕付き) 臀部への刺激とバランスを意識しながら行う
C腕立て伏せ
D胸部の開閉 上半身の柔軟性の違いを感じる
Eスキップ(片腕回し、腕開閉、腕上下、バックスキップ Fランジ(腕を伸ばしながら)
Gキャリオカステップ
H脚の開閉(前後、左右、回旋、仰向け、うつ伏せ、首倒立、四つ這い)

■ハードルドリル
ゆっくりの動作で軸や乗り込む感覚を大切に、複合的で速い動作へとつなげる

@ ハードルまたぎ(片脚、両脚、サイド)
片脚のみの動作を行うことで、軸の感覚や接地脚にしっかり乗り込む感覚をつかみやくなる。その感覚をつ かんでから両脚の連続動作に入っていくと正しい動きが作りやすい
A ハードルくぐり
B スキップ(リード脚、抜き足、乗り込み)
真上から踏み込む感覚をつかんでから、次の動作へ入っていく。抜き足は体の前まで引き付けてから踏み込 むことで速く踏み込む感覚をつかむ
C 3歩ドリル 腰がのこさないことで重心が一気に移動する感覚をつかむ
D 乗り込み(片足ケンケンつなぎ)軸を保持しながら重心を送り込む感覚をつかむ

■■ハードル補強
@抜き足 膝を体の前に引き付けるように行う
A片足支持で前後 体の軸を保持しながら股関節広げていく

 
八幡賢司氏ハードル指導についての実施報告

1.日時 平成 30 年 12 月 22・23 日(土・日)
2.会場 丹波自然運動公園陸上競技場
3.講師 日本陸上競技連盟 八幡賢司氏
4.参加者 京都府中学校陸上競技冬季強化合宿選抜選手

【練習内容】
22 日(土) 午前練習

□芝の周りをジョッグで 2 周、体操など
□ストレッチ
□ハードルドリル
 ※どの動きもできれば両脚ともやる方が望ましい。
 @バーを持って抜き脚
 Aウォークでリード脚(8 台、インターバル 8 足長、女子は一番下、男子は女子の 1 つ上の高さ)
 Bウオークで抜き脚(Aと同じ設定、できれば両足ともやる。)
 Cスキップでリード脚
 Dスキップで抜き脚
 Eハードルの真ん中で連続ステップハードル
 F2 歩ハードル(高さと台数はDまでと同じで、インターバルを 16 足長に伸ばす。)

22 日(土) 午後練習
□フリーアップ 15 分
□ハードルドリル
 @前向きまたぎ(8 台、ハードルはくっつける、女子は一番下、男子は女子の 1 つ上の高さ)
 A後ろ向きまたぎ(@と同じ設定)
 B横向きで連続リード
 C横向きで連続リード、上げてきた脚を伸ばす
 Dミニフレキで、左右非対称の動き(ミニフレキで 3 足長、8 台)
 Eミニフレキで、横向き連続もも上げ
□ハードル走(高さは正規の 1 つ下、女子は 7m×7 台、男子は 8.5m×7 台)
□ダウンにマーカー取りゲーム

22 日(土) ミーティング 目標設定について
□陸上を始めた頃は・・・
□目標設定について

23 日(日) 午前
□ジョッグとさまざまな動きを交互に行う。
□ストレッチ
□ハードルドリル
□11台ハードル走×5セット
(インターバルは男子:8.5m、女子:7.5m、高さは男女とも正規の 1 つ下)
□ハードルを使用した補強

13 秒台の選手の感覚

  • ハイレベルの選手は、踏切後すぐに抜き脚を抜いてくる。踏み切りすぎない。
  • ハードルを越えるときに、ハードルのバーの裏側を胸で見に行くような感覚。
  • ハードルの手前でハードリング動作を完了するのではなく、ハードルの向こう側(奥)でハードリング動作をする。
  • リード脚は前に伸ばすのではなく、地面の方向に伸ばしながら着地に向かう。

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